心のフォーム【part 0-4】はじめに

2022年11月25日

○身の回り(身構え・心構え)

〜服装・場の設定が大事〜

素質だけでなく、本当に心の教育をしながら強くなっているチームは、練習場所や身なりを見ただけで伝わってくるものがあります。


「身の周り」 

三原修監督について
日本のプロ野球史上に大きな足跡を残した三原修監督が、それまでいつも最下位の近鉄球団に迎えられた時、選手達はどの様な話や練習をするのかと期待に胸をはずませていた。ところが監督が選手達に向かって命じた第一声は、意外にも「ロッカーを清掃・整頓せよ」であった。私はこの話を聞いて非凡な監督のすばらしさを感じた。県内はもちろん、県外の名門校を私は多く視察したが, 運動部が盛んでしかも強い学校ほど部員のマナーがよく、清掃の行き届いたすがすがしい環境で火花が散るような練習に励んでいたことを思い出す。 考えてみれば、 自分達の使う道具の後始末もせず、運動着は乱雑に脱ぎ捨て、 部室は泥だらけの荒れ放題というチームがよい成果をあげるはずがないのである。 自分達の練習場所を1つの道具として臨むかどうかの心がけの差がそこに表れている。
服装がどうであれ, 頭髪がどうであれ, 中身の人格や能力があれば外見なんかどうでもいいあろうとうそぶく若者もいる。 しかし、そういう者に限って皮肉にも実は内容貧困でだらしない場合が多い。 真剣にものを学ぼうとする謙虚な意欲をもつ者にとっては、自らの生活に対する心構えがしっかりしていなければならないことは,三原監督の教えがよく物語っている。
服装が我々に与える影響は大きい。かりにアロハシャツにラッパズボン、しかもガムをクチャクチャさせて新幹線の運転台に座る運転士がいたらどんなに腕は確かでも私は不安の余りその列車を降りるだろう。 制服・制帽を正しく着用しているからこそ、そういう人の操縦するジェット機で安心して太平洋を渡ろうという気になる。服装が正しくインチキな人間もいるが、確かな人間の率の方がはるかに高いのである。


身構えと心構えは表裏一体



○ 「意識しているか」 を観る
練習の動きの中で、意識して取り組むことはとても大切なことです。 「意識」 は色々あります。 フォームの意識, 強くなろうとする意識, 感謝する意識, 気が遣える意識など、様々です。 それらの意識を自分の中で高めていくことは大切ですが,他の人が意識して行動しているかを観ることも、とても大事なことです。
例を出してみますと、「フォームを考えて走っているな」 「ライバルを意識して頑張っているな」 「チームの為に注意しているな」 「先を見て行動しているな」 「盛り上げようと気合いを入れているな」 など、意識して行動していることはたくさんあります。 逆に、自主性がなく無意識でメニューをこなすだけの消化練習をしているだけの人も多くみられます。
陸上に限らず、他の部活動の練習を見て「意識しているか」 「ただやっているか」を観る眼識を養うことも大切です。 よいチーム・強いチームは、必ず一人ひとりが意識して行動しています。

よい所は真似します (学ぶの語源は真似る)
日頃の生活の中でも、目標を持って毎日を過ごしているか自己確認しましょう。 授業・掃除・部活動・宿題・家庭学習塾などやらされていると思っているのか、目的を見いだし、より自分を向上させようと意識して行動しているのか、それはかなり大きな差になります。


観れることは自分の意識も高い



○努力の積み重ね〜大村はま〜
大村はま先生が講演の中で、江戸時代の儒学者 「新井白石」 についての話をしました。
白石の父親が我が子に学問についての話をした内容です。


「白石よ、学問を初めから好きなものはいない。努力を積み重ねていくことで、いつのまにか気がついたら成果となって現れていた。 学問とはそんなものだ。
例えば,米を箱から1日1粒1日1粒取っていっても減ったことはわからない。しかし、1粒でも減ったことには変わりない。そしてある日ふと減ったことに気がつく
学問はそういうもので、今日怠けたからといって、明日急には馬鹿にならない。 しかし米1粒の怠けが重なって、可能性・成長を止めてしまう。
今日学習したからといってすぐに結果はでないが、その積み重ねがふと気がついたら成果となっていくものだ


努力はすぐに報われるとは限らない

努力し続けることで、気がついたら成果となっている



○ 「努力」は突然報われる

〜水は突然あふれ出す〜
努力は報われる。 しかし、 いつも成果があらわれればいが, 努力しても報われない時がある。 10日努力しても、 1ヶ月30日努力しても前と何も変わらない時がある。 試験勉強をやっても結果にあらわれない時がある。
陸上でも同じだ。 毎日練習しても全然記録が伸びない時がある。 そんな時人間はあきらめがちになる。 自分は頭が悪い、才能がない。 あの人は頭がいい、私とは違うんだ。 そんな気持ちになった人が多いに違いない。
しかし、それは間違っている。 人間の成長は, 努力し続けた時に突然現れる場合が多い
例えば、中の見えないバケツにコップで水を入れていくとしよう。
水が少しずつ増えているのにかかわらず、外から見ると何の変化もない。 ところが、水さえしっかり入れ続ければ突然あふれ出す。 人間の成長はそれと似ている。
努力を続ければ、ある時突然に成果となって表れる
自分の可能性をつぶしてしまうのは自分の心 やらなかったやれなかった どっちかな



○当たり前は当たり前でない 

当たり前と思われることに感謝できる素直な心
与えられた環境に対して、日頃は無意識で活動しています。 その環境の有り難さには、意識しないと気がつかないものです。
<目に見える現環境に感謝>
まずは、グラウンド・施設・道具・自然環境などは、目に見える環境として感謝することが大切です。 しかし、日々の練習でなにげなく無意識に使用していると, その有り難さには気づきません
<支えている人の環境に感謝>
また、先生コーチなどの指導者、先輩・同僚・後輩などの仲間、保護者の協力等、みんなを支援してくれている人の環境にそがとても大事なものであり、当たり前と思ってはいけない皆さんを支えている力なのです。 よい環境で,みんなが頑張っている雰囲気の中だからこそ、その流れの中でより一人ひとりが成長していけるのです。
よい環境は一朝一夕にはできません。 年月をかけ、伝統として積み重ねつくりあげられていきます。 それは、とても大変で貴重なものです。
しかし、壊れるのはあっという間です。 何年もかけて築き上げたものも気 (魂)をぬいたら、1ヶ月で崩れてしまいます。 しかし、その状態は中にいると気がつかないものなのです。 ふと気がついた時は、チーム状態が天と地の差に落ちてしまっています。よい環境を維持・発展していくためには、絶えず、熱い環境を求めることが必要です。 心身が成長できる環境・よりよい伝統をみんなでつくりあげていきましょう。