心のフォーム【Part 6-1】気構え、心構え

2023年06月08日

走る心
〜競技者として伸びるための条件〜

2 練習での心構え

(1) 気構え、心構え(練習以前の心構え)


○正しい心で正しい練習

①正しい心

それは素直な気持ちで、多くのことを吸収できる大きな器をもった心です。

心の土台を広げよう。(by山梨白根巨摩中 中和彦先生)

② 正しい練習

それは理論と根性がマッチした練習です。 (理論だけ× 根性練習だけ×)

「理論にのっとった練習」と「根性一筋の練習」 の両方が大切です。 陸上の知識が豊富で、練習の意味を理解したり、理想のフォームを分析したり、 多くの選手の名前や記録が言えたり、栄養面での知識をたくさん知っていたり、 陸上に対する興味関心が高い事が大切です。 当然、陸上雑誌を買っているべきです。

また、とうてい日頃はできないような本数や距離のメニューも、やり遂げる強い意志 (根性)も大切です。

更に、理論と根性が絡み合ったメニューをやる気をもって取り組んでいける「場の雰囲気」 「場づくり」 が必要です。やらされ練習は最悪です。

○根性と理論

根性練習はすごく大切です。 しかし確かな理論で根性練習をすると、効果は倍増です。

①練習の知識 (例)

・LSDの効果 (毛細血管の増加)

・超回復の原理

・調整の理論

②食事の知識 (例)

・貧血の知識 (なぜなるか。 どんな体質がなりやすいか。どう予防するか。)

・栄養素の知識 (タンパク質 ビタミン類, ミネラル類)

③ フォームの知識 (例)

・バネのあるピッチ

・腰を入れた前傾

・軸の通った腕振り


○「自立した競技者」 になろう

自立した競技者は、練習の意味を考えて行動できます。

・W-アップもC-ダウンも身体を大事にしているので、何をなぜやらなければいけないかを考え身体を動かします。

・練習、大会会場では、「今何をすべきか」を考え行動できます。

練習場を離れても、強くなりたいという気持ちを持ち続け、工夫しています。


○よい覚え方

(1) 時間をかけた事は忘れない (身体が覚える)

教わるとすぐにできる人、マネをするとすぐできる人がいます。素晴らしいのですができてしまうからこそ、それ以上極めようとしない場合が多いのです。

逆に、あきらめずに時間をかけててきた人はよく考えて行動し、身体も経り返すことで覚えているので、一度できると忘れません。 そして、無限の可能性が広がります!

左脳で考えて身体を動かし、無意識 (右脳)でコントロールできた時すごい力が発揮できる。

左脳で動かし、右脳で動く

(2) 自分で納得、理解した事は忘れない (理論で納得する)

「動き」や「練習方法」などを教わったら「すぐやってみよう!」 の気持ちで練習し、身体だけでなく理論で納得することが大切です。「なぜ」と疑問に思ったら、更に先生・コーチに質問し、再び考え、練習を繰り返してみることが大切です。

身体と頭(理論)で納得、理解したことは、忘れません。


○人間本気になれば大差なし 〜本当に本気か? 真剣か? 限界か?〜

「本気で」とか「真剣に」という言葉をよく使います。 しかし、人間が長い人生の中で、心底から真剣になれる時は、数少ないと思います。 真剣というのは、竹刀や木刀でありませんので、生か死です。

その「真剣に」という本来の意味でがんばれば, 不可能が可能になります。

「いつ本気になれるか いつ真剣になれるか 限界までやったのか」

人間本気になれば大差なし(埼玉県二反田眞示先生)


「強くなりたいな」 では伸び悩むが、「絶対に強くなるぞ」 で伸びる。

(例)

・ラストスパートで、ど根性でがんばったら、ライバルに競り勝った。

・何年やってもできなかったことが、本気で1ヶ月やったらできた。

( 極端な例)

・火事場のバカカ

腰の曲がった老婆が、日頃動かすことのできない重い金庫を運んでしまった。

・小男にも手を出せない大男

力の弱い小人でも、死ぬ覚悟で殺気を感じる時は、大男も手を出せない。


人間は心底から「本気」になった時に不可能が可能になる!

競ったら負けるな、力は同じ、最後は本気で勝ちたいものが勝つ!


○頂上は1つ 登り方色々

山登り、目指す頂上は1つですが登り方は色々、人それぞれ違います。 トレーニングでは、たくさんの知識をもって、練習や動きをすることが大切です。 練習内容やフォーム1つとってみても これが1番というものはありません。 色々やってみて、多くの経験や助言から自分に合ったものができあがっててくるのです。 もちろん、「基本の動きの土台」の上に「個性の動き」です。


〜多くのことを知って、1つ選ぶ〜

新しい事を教わると、それまでやってきた事を忘れてしまう。今の自分にピッタリのイメージ・言葉をつかもう。

本当は、「同じ事」を言っている。

・本当は、「同じ動き」 を目指している。

・本当は、「同じ目標」に向けてのアドバイスです。

多くの事を知らないと、今の自分に合った考え方、やり方, イメージが選べない。

そして、練習日記への記録がとても重要です。

・うまくいったイメージの持ち方

・うまくいったレースの調整、失敗したレースの原因


〇充実感で 「充実汗」

どんなにきつい練習でも目標をもって取り組んでいる人は、それを辛いと思いません。

「きつい」が「充実感」 に変わるのです。 卒業生の練習ノートから一例を紹介します。


「本当の陸上」 って充実感を味わえるかだと思う。味わえればきっと目標のある人だと思うし、

それに向かって一生懸命がんばっていると思う。 充実感が味わえない人は、目標があっても苦し

いと思う気持ちが強くてほとんど努力ができない。 これからも充実感のある選手になりたい。


一般的に好成績を目標に「きつい練習」をするですが、成績だけに価値観を求めると、本来の目的から外れていってしまいます。 勝利はただ1人、それ以外多数は負けるわけです。 途中の練習過程に充実感を求め、そして試合内容に充実感を味わえることがとても大切です。 練習後に「今日はよい練習ができた」と思える日を積み重ねましょう。


【まとめ】

足が速くなる方法は無限にあります。その情報や知識をどのように自分に当てはめてトレーニングができるかを日々考えながらトレーニングをしていく必要があると感じます。

練習をしたから速くなるのではなく、どのように何を練習したかを考えることで日々の練習の効果が何倍にもなると思います。

陸上競技もかけっこも同じ、自身の考え方で差をつけていきましょう!


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